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ここには主要な目標だけをかかげたが、さらに細かい目標が示されている。例えば、教育雇用省では、政策とサービスの提供については、幼児教育、学校理事、生徒のボランティア活動、学校とボランティアのパートナーシップ、ユース・サービス、学校卒業者に対する職業訓練、継続教育、継続教育学校の運営、失業手当受給者、高齢者、女性、職業訓練などの項目ごとに、具体的な目標を立てている。これらの目標の中心は、?@職員に対するボランティア活動の推進、?Aボランティア活動と省の政策の関連づけ、?Bボランタリー・セクターと省の政策の関連づけ、といったものであるが、全体を通じて?@の中央政府の職員が積極的にボランティア活動にかかわることを強調していると考えられる、日本では、阪神・淡路大震災を契機として、国家公務員のボランティア休暇制度が導入されることになったとはいうものの、日数等の点から不十分であることは否めないが、イギリス政府のこのようなボランティア活動を重視した政策の展開は極めて興味深いものである、
他方、野党である労働党も、ボランタリー・セクターとのパートナーシップを優先する政策を展開している。1996年に公表された労働党のパンフレット「ボランタリー・セクターに対する新しい労働党のアプローチ」によれば、次のように述べられている19)。

 

新しい労働党は、公対私あるいは国家対市場という旧来の対立図式を超えて進んできた。我々は、公・私・その他(協同・相互・非営利・ボランタリー)のセクターが問題に対する新しい解決法を求めて協働するパートナーシップ経済(partnership economy)の存在を信じている。この経済的パートナーシップはきわめて重要であるが、社会的なパートナーシップもまた重要である。すべての市民は「関係社会」(stakeholder society)の一員として見られなければならず、活発化するボランタリー・セクターはこの市民社会の再活性化にかかわる労働党の主要な一部である。
このパートナーシップ・アプローチは、コミュニティにおける積極的な変化をもたらそうとするすべての人々のエネルギーを活用しようとする場合に、とりわけ強力となる。「一人だけでできることよりも協力してできることの方が多い」と言える領域は社会的変化の分野である。

 

こうした労働党の政策は、保守党政府の「メイク・ア・ディファレンス」計画に対抗しての政策であると考えられるが、党首トニー・ブレア(TonyBlair)の言うように「ボラ

 

 

 

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